泣いてはいけない

ある撮影会でひとりの女子高生が時簡におくれて駆け込んできた。
(略)
彼女は「撮影会」がおわり、会場に人影のないのを知ると、わっと泣き出した。

その地方の幹部が彼女を抱えるようにして池田の前に連れてくると彼は
「泣くんじゃないよ、おかしいよ」と笑いながら「大学をつくるからね。必ず来なさいよ」といった。
少女が再び声をあげて泣くと、
池田は「このお嬢さんにお数珠をあげなさい」と秘書にいい、後もふりむかずに歩き去った。

宿に帰ってから「あなたがあの子の立場だったら、やはり泣くでしょう」と訊くと
池田は「そりゃそうですよ。さっきは私だって心の中で泣いていましたよ」と言った。

「しかし、私はあの場で泣くわけにはゆかないんです。私が泣けばみんなも泣いてしまう。
そうすれば、創価学会はエモーショナルな団体だという眼で見られる。真実はそうではなくても、世間にはそうとられます。
私は哀愁をつくれないんです」

池田大作 行動と軌跡

池田大作 行動と軌跡